食道は食物を胃に送るための咽頭(いんとう)の下方に続き、胃の噴門までをつなぐ約25cmの長さの管です。食道自体は食べた食事を胃に運ぶ働きをしており、
消化や吸収はしていません。
また、食道には生理的な狭窄(きょうさく:細くなっているところ)が3か所あります。最初の狭窄部は食道の入口で咽頭に連なる部分、二番目の狭窄部は食道の中部で、大動脈弓と左気管支が交叉(こうさ)する部分、三番目は横隔膜を貫通する部分で、横隔膜狭窄部と言います。
食道の上下両端には、安静時に閉鎖し、食事を食べたとき(嚥下時(えんげじ))にゆるむ括約筋(かつやくきん)があります。咽頭(いんとう)に近い上部括約部は、食物の食道からの逆流を防いだり、息を吸ったときに、空気が胃へ流れ込まないように収縮します。胃に近い下部食道括約部は、嚥下時にはゆるんで食物を胃に送り込みますが、平常は胃の内容物が逆流しないように締めつけています。
食道の断面
食道本体は筋肉でできていますが、内側は扁平上皮(へんぺいじょうひ)という細胞からなる粘膜上皮で、外側は外膜という膜でおおわれています。
食道は、消化管のなかでも、外からのさまざまな刺激、細菌などにさらされやすく、とくに酸やアルカリに弱いという特徴があります。
食道の内視鏡
食道内視鏡写真 |
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左から喉頭部、穴が見えているのが気管で食道はその下から始まります。
中央が中部食道です。正常の食道の扁平上皮粘膜です。
右は食道-胃接合部でピンクの粘膜が食道でやや赤みを帯びた粘膜が胃粘膜になります。 |
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