体内で産生された熱は血液に乗って全身に運ばれます。熱をもった血液は皮膚にある毛細血管で外気温に冷やされたり、汗の気化熱で冷やされ、再び体の中に運ばれ体温の上昇を防いでいいます。この調節は脳の視床下部にある体温調節中枢が行っています。
熱中症が起こる原因
気温が上昇すると皮膚での冷却ができなくなり体温の上昇が始まり、高温を抑えるた
めに多量の汗をかくことで脱水がおこります。さらに皮膚から放熱するために広がった毛細血管内の血液が停滞することで全身の血液量が低下し、心臓に負担がかかるようになります。さらに心臓に栄養をおくる血液も減るので一層心臓に負担がかかり体の熱を循環させることもできなくなってきます。熱の発散ができなくなると体温の維持ができなくなり、40度を超えると細胞の機能が低下し障害が出てきます。
新分類 |
重症度 |
熱中症の分類 |
症状 |
I 度 |
軽症 |
熱けいれん |
四肢や腹筋などに痛みをともなった痙攣 |
熱失神 |
失神(数秒間程度なもの) |
II 度 |
中等症 |
熱疲労 |
めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なり合って起こる |
III 度 |
重症 |
熱射病 |
意識障害、おかしな言動や行動、過呼吸、ショック症状などが、2度の症状に重なり合って起こる |
熱中症の治療
新分類 |
重症度 |
熱中症の分類 |
体温調節機能 |
治療 |
I 度 |
軽症 |
熱けいれん |
正常 |
涼しい所で安静・水分補給 |
熱失神 |
正常 |
II 度 |
中等症 |
熱疲労 |
正常 |
涼しい所で安静・水分補給しつつ病院へ |
III 度 |
重症 |
熱射病 |
破綻 |
病院へ |
※体温が高くても解熱鎮痛剤は体温調節機能が破綻している場合には投与しないでください。状態が悪化する可能性があります。
※
熱中症の予防
@こまめに水分補給
のどが渇く前にこまめに水分を補給しましょう。汗には塩分が含まれており大量の汗をかいたら
、スポーツ飲料などの塩分を含んだものを取るようにしましょう。糖尿病の方はスポーツ飲料には糖分が含まれており血糖値があがるので注意が必要です。
ビールなどのアルコールは、 アルコールを分解するときに水分を使いますので、かえって体内の水分を減らすために危険です。
また、高齢者の方は暑さやのどの渇きを感じにくい場合があり、こまめに水分を補給しましょう。
A暑くなる日は要注意
暑さに体がなじんでいない梅雨明けの急に暑くなる日は注意が必要です。真夏も猛暑のときは注意が必要です。
室内にいても高い湿度の室内では体からの汗の蒸発が妨げられ、体温が上昇しやすくなってしまいます。猛暑の時は、エアコンをかける・換気をよくするなど注意をしてください。
B
外出時の注意
外出時には日傘や帽子で直射日光を防ぎ、できるだけ日陰を利用しましょう。高齢者の方は昼間の外出を控え、朝や夕方の温度の下がった時間帯の外出をするようにしましょう。
何かおかしいと感じたら医療機関への受診をするようにしましょう。