乳幼児(生後6カ月〜2歳)が最も多く発症し、次いで6カ月未満の乳児が多く発症する病気で、ロタウイルス感染の2/3は2歳未満といわれています。ロタウイルス胃腸炎は、嘔吐で始まり、発熱(半日〜2日程度の期間)や腹痛の後、下痢が始まります。潜伏期間は、24時間〜72時間です。特に、ロタウイルスに初めて感染した場合に下痢が長引くことが多いと言われています。
感染経路
- ノロウイルスと同じようにヒトからヒトへの経口感染が大部分です。
- 汚染された水や食物を介して、あるいは汚染された物の表面、例えばドアノブ、手すり等を触った手などから口に入り感染します。
症状
下痢、発熱が主な症状
@嘔吐は1日3〜6回のことが多く、1〜2日で収まります。
A発熱も半日から1日程度で、二日を越えて発熱が続くことはありません。
B下痢は、白色水様性下痢になることが多いのが特徴であり、白色便下痢症、仮性小児コレラとも、呼ばれていました。下痢は解熱後も5〜7日間続きます。
母親がロタウイルス胃腸炎の子供から感染することもありますが、発熱することはあっても、嘔吐、下痢などの胃腸炎症状は、軽く、数日で治癒することが多いです。
治療
ノロウイルスと同様にに有効な抗ウイルス薬は存在しません。嘔吐や下痢がひどい場合には水分の損失を防ぐために点滴などを行います。
※止瀉薬(下痢止め)については、ウイルスを体内にとどめることになるので控えるようにしましょう。
・水分補給には、スポーツドリンクを人肌に温めてから飲むことをお勧めします。また、嘔吐症状がある場合には一気に水分補給をすると余計に嘔吐する場合が多く、少量ずつ飲むようにしましょう。
・スポーツドリンクがない場合や
糖尿病などをお持ちで糖分接種制限のある方は、0.9%の食塩水(100 mlに食塩0.9gを溶かしたもので、いわゆる生理食塩水)を人肌に温めて飲むようにしましょう。
・食事は決して無理から食べる必要はありません。食べれるようなら食べてもかまいませんが消化の良いものを食べましょう。
予防
- 日頃からの予防方法としては、食事前やトイレの後などにおいて、せっけんを使ってしっかりと手を洗うことが大切です。
- 食品中のウイルスは加熱により感染性をなくすことができます。食品の中心温度が 85℃ 1分以上になるようにしっかり熱を通して食べましょう。
- 下痢や嘔吐などの症状がある人は、食品を取り扱う作業を控えましょう。
ロタウイルスに感染したら・・・
周りのひとに広がらないようにしましょう!
・患者の下痢便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれており、その処理には十分注意する必要です。 乾燥した嘔吐物や下痢便についたウイルスをそばを通ったヒトが吸い込んだり、その人の体に付着し最終的に飲み込むことによって感染する場合もあります。
・下痢の症状がなくなった後も、患者の便にはしばらくウイルスの排出が続きます。汚物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、用便後や調理前の手洗いを徹底しましょう。
・殺菌には熱湯あるいは0.05から0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを使用します。市販の塩素系漂白剤(通常は5から10%次亜塩素酸ナトリウム)なら50倍から100倍に薄めて使用します(例えば、原液10ミリリットルを1リットルの水で薄める)。
※
アルコールや逆性石鹸にはあまり殺菌効果はありません。
・調理器具、衣類、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
汚物の処理方法
- 患者の便や嘔吐物を処理するときは、使い捨ての手袋とマスクを着用する。
- 便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れる。
- 残った便や嘔吐物の上にペーパータオルをかぶせ、その上から50倍から100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を十分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭く。
- ウイルスは乾燥すると空気中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、便や嘔吐物を乾燥させないことが重要。