胃の役目は、その蠕動(ぜんどう)運動(うねるような運動)と攪拌(かくはん)運動(かきまぜる運動)により食物をよくかき回しまぜる働きと、胃液と消化酵素のペプシンを分泌して食物を消化することです。胃に入った食物はかゆ状になって十二指腸に送られます。
胃の本体は筋肉でつくられており、内側は円柱上皮細胞でできた粘膜でおおわれており、この粘膜の中に胃液の分泌腺があります。胃の外側は、漿膜(しょうまく)という結合組織でできたじょうぶな膜でおおわれています。
なお、食道とつながっている胃の入り口の部分を噴門(ふんもん)、胃の頭側を胃底部、それに引き続く部分を胃体部、さらに胃の出口の付近を前庭部、十二指腸とつながっている出口の部分を幽門(ゆうもん)と呼びます。さらに胃は図のように曲がっており、短い距離の方を小弯、長い距離の方を大弯と言います。
胃からは1日に1.5〜2.5リットルの胃液が分泌され消化を行います。胃液には@塩酸、Aペプシノーゲン(塩酸に中で、活性型のペプシンに変化したんぱく質を分解)、B粘液が含まれ、それぞれが下の表に示す細胞から分泌されます。胃液はpH1〜2になるほどの強い酸性の状態が保たれています。このため、食べ物を簡単に溶かしてしまうだけでなく、ほとんどの細菌は胃の中で殺菌されます。胃に入ったタンパク質はペプシンにより分解されていきます。胃に入ったタンパク質は消化されるのに、胃の組織自身が消化されないのは、粘膜が胃液によって消化されないように自らを守るいくつかの防御機構をもっているからです。
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分布 |
名称 |
働き |
胃腺 |
胃底腺 |
底部・体部 |
壁細胞 |
胃酸分泌 ・内因子 |
主細胞 |
ペプシン分泌 |
腺頚部粘液細胞
(副細胞) |
粘液分泌 |
幽門腺 |
幽門部 |
G細胞 |
ガストリンを分泌 |
胃の内視鏡
胃内視鏡写真 |
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左は胃の入口(噴門)から見た胃の中です。胃体部にあるヒダが見えています。
中央は胃角部を見ています。奥に見える黒いものは内視鏡です。
右は胃前庭部です。奥に見える黒い点は幽門です。 |
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